ファーストラヴ(島本理生)

主要登場人物のみんながそれぞれに抱えている闇を感じさせる物語でした。
がっつり描かれている環菜、由紀、迦葉をはじめ、恐らく我聞も…。
だって、大きな夢を諦めてまで一人の女を選んで貫き通すって尋常じゃないと思うのですが…(深読みしすぎ?)
こういう心理物は大抵読んでいるとしんどくなります。
そしてだいたいどこかでボロボロ泣きます。
今回は、環菜が由紀に宛てた最後の手紙でボロボロ泣きました。
ここまで深くはないけれど「親に迷惑をかけるな」と言われ、ことあるごとにうんざりした顔を見せられて育ってきた自分にはすごく突き刺さる手紙でした。
そして一見ハッピーエンドと思われるラスト、私はちょっと怖かったです。
ここまで分かっててすべてを受け止める、って、一見とても懐が深い人間に見えるけど、そうしてまで誰かを手放したくないと思う気持ちの出所ってちょっと尋常じゃない気がするので。
繰り返しになりますが、私には環菜の事件そのもに関わる部分よりも、我聞にうすら寒さを覚えた物語でした。

【読後数時間経って妄想追加】
もし陰に『出来の良い一人っ子のところに問題を抱えた子供が引き取られてきて親をとられた気持ちを自覚のないまま抱えた結果が、我聞の、何がなんでも由紀を迦葉に渡さない強い思いになってて、いつか気持ちが破綻してしまうストーリーが隠されてたらすごいな』なんて妄想が止まらない…。

ファーストラヴ
文藝春秋
島本 理生

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