昭和の犬(姫野カオルコ)

タイトルだけを見た段階では、犬は比喩的な犬なんだと思い、時代に阿ることでうまく私腹を肥やした人の話だと想像したのですが…
ひと言でいうと昭和という時代を生きた家族の話と言えると思うのですが、なんというか、喪失感がすごくて…ところどころで切なく、読み終えてほろりと涙がこぼれました。
年齢的に言うと、イクと私は干支が一回り違い。
イクと違って両親も祖父母も若かったので、祖父母も含めて昭和に生きた家族という感じだったので、感じられる時代の匂いがが記憶と重なる部分がままあったので感情が入りやすかったのかもしれません。
時代時代の流行りの犬を登場させることで時代背景をさらに色濃く映し出していたと思いますが、読み終えて今改めて振り返ると、昭和に生きた人たちって昭和という時代に飼いならされて犬だったんだなあとしみじみ思いました。平成になって20年以上経ちますが、今を生きる私たちは平成に飼いならさることもなく、かと言って飼いならすこともできず…何故こんなに不安定な時期が長く続いているのかがちょっと分かったような気がしました。
年号が変わっても昭和は終わらない方がよかったのでは、なんて自分で思ってなんだそれということも思ってしまいました…
昭和に戻りたいなあ。
不便だったけど群衆の中の孤独が今より薄かったあの時代へ。
でも戻れない以上、平成の代を生きていくしかないのですね。
ああ、改めて喪失感。

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