恋文(連城三紀彦/著)

時代背景が古いのですが、それ以外は全く古くなく…
人間の、男と女の、いつの時代も変わらぬ部分を描いているな、と思いました。
『恋文』
表題作です。
最初の数ページを読んだところで、
「あれ?この作者さんて男だよね?」
と思わず確認してしったくらい、女らしい意地っ張りさと見栄っ張りさが描かれていました。
『紅き唇』
その風貌は、とても女らしいとは言えない、むしろ男みたいなおばちゃん(おばあちゃんかな?)であるタヅが、最後の最後でとってもかわいらしい女性に思えました。
純粋ですね。彼女の嘘の中に乙女を感じました。
ちょっと涙がウルっときました。
『十三年目の子守唄』
なんか、すっごく複雑な話というか設定を、こう見事にまとめられちゃうと感動を通り越して驚きです。
男にとって父親って…深い存在ですね。
『ピエロ』
計作の真意はいずこに…分からずじまいでしたが、計作と美木子がお互いに本音をぶつかり合わせることがなかったのが切なかったです。
争いごとはない方がいいとは思う。
けど、平穏であることが必ずしも幸せとは限らない。
本音を言い合えるからこその諍いは必要なのだな、と思いました。
『私の叔父さん』
出てくる人たちがみんな辛くて、嘘をついている。
「大人ってのは嘘をつくことじゃなく、つけることだよ。いや、本当のことでも言ってはいけないことなら口にしないことだ。口にしてしまったら、今のは冗談だって笑えることだ」

五つの話のどれも、読んでいるときはぐいぐい引き込まれたのですが、あとから思い出そうと思うと結末がどれも思い出せず…
登場人物の言動や心の揺れ方に大変な説得力があり、その部分が際立っていて、私にって結末なんてぶっとんじゃってOKなほどだったんだと思います。

余談ですが、連城氏の作風を全く存じ上げなかったため、初めてこのタイトルと連城三紀彦氏の名前を見たとき、私の勝手なイメージから、てっきり時代物で生真面目な男の心模様の話だと思ってしまいました(笑)

恋文 (新潮文庫)
新潮社
連城 三紀彦

ユーザレビュー:
ほんわかとあったまる ...
傑作率5/5 切なさ ...
しっとりとした味わい ...
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【古本】恋文/連城三紀彦
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作者:連城三紀彦初版発刊月:1984年01月ハードカバー小説ISBN:4103475021


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