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汚れた手をそこで拭かない(芦沢央)

短編集。 本のタイトルと同名タイトルの作品がないので「どういう意味なのかなぁ」と興味深く読みました。 結果、汚れた手をそこで拭かない、と言うよりは、汚した手をそこで拭かない、の方が近いかな(自分、細かいな) 『ただ、運が悪かっただけ』 語り手の旦那様は、運が悪かったとは言えないような、運が悪かったと言うには足らない気がします。 …
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雲を紡ぐ(伊吹有喜)

いろんなものが魅力的過ぎてなにからどう書いていいのか分からなくて嬉しい困惑に心をもみ洗いされています。 自立って経済面が重視されがちだけど実は精神面のほうが生きていくにははるかに重要なんですよね。 「分かり合えない母と娘」のコピーに、世の中には分かり合えてる母娘が多いのになんでうちは…と思い続けていたのを思い出しました。 別に血を…
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いつの空にも星が出ていた(佐藤多佳子)

一つのプロ野球チームの歴史と戦績からこんなドラマを生むことができるなんて!とまずは感激。 そして、あとから振り返る思い出(特に青春)を描くのが本当にうまいなぁ、と感心しきり。 過去を振り返って思い出として描く、ではなく、あとから思い出として振り返る人生を描くのがうまいといいますか…。 『レフトスタンド』こじんまりとした物語ですが、…
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きつねのうみほおずき(しみずみちを・作/梅田俊作・絵)

うろおぼえのお話をもう一度読みたくて探していて行き当たりました。 うみほおずき、よみせ、おんなのこ。 このみっつのキーワード。 読み終えて、これだったような気がする、と思うと同時に、違ってもこの一冊に出会えてよかった思いました。 穏やかに、静かに流れるような物語。 『こんどのえんにち』はこれから何度もやってくるのかな。 だと…
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そして、バトンは渡された(瀬尾まいこ)

設定は作り物的だし、登場人物も然り。 なのに登場人物の心の在り方や動きに全く無理を感じないのは、文字には表されていない一人一人の個性がきちんとベースにあり、それに基づいてそれぞれが言葉を発し行動しているからなんだと思う。 この設定でなければならない、この登場人物たちでないと紡げないとても丁寧な作品だと思いました。 家族っていったい…
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メロディ(くすのきしげのり・作/森谷明子・絵)

みかえしに書かれているあらすじでお話の全容はほぼ知れてしまうのだけど、うるうると涙が。 音楽ってずっとそこにあるけど離れちゃうときもある。 お話はシンプルなのに優しいトーンの絵が手伝ってかピアノの思いや気持ちがずんずん伝わって来ました。 子供の頃に習っていたピアノをやめてしまった大人の方割といると思うので、この絵本は実は今でもピア…
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背中の蜘蛛(誉田哲也)

今という時代ならではの作品。 昔であればSFのジャンルの入れられかねないが今ならとてもリアル。 この内容を是と思うか非と思うか、正しく使えるか否かは結局のところ人間というアナログなんだな、と思うと難しい。 犯罪と犯罪抑制のシステムはいつの時代もいたちごっこなのだろうけど、だんだん煩雑にそして難解になっているのでしょうね。 良くも…
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スワン(呉勝浩)

一言で言うとヘビーな作品。 それは、無差別殺人事件を軸に描かれているから… ではなく、無関係の人間による勝手な解釈によって行われる当事者への攻撃が描かれているから。 と思いきや、関係者、いやむしろ当事者と言える人たちによる当事者への悪意が描かれておりそれが恐ろしく… と思いきや、だけでなく、事件によって隠された出来事があり… …
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神様は五線譜の隙間に(瀬那和章)

ピアノ好きには魅力的なタイトル、ということで手に取りました。 話の筋はとっても面白かったです。 ただ個人的な好みとしては行間がなく読みごたえがなくてちょっと残念でした。 うまく説明できないのですが、書いてあることがすべてと言いますか、行間からにじみ出る感情とか言葉の裾から感じる感情の風みたいなのがないといいますか… 読みやすくは…
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こどものとうひょう おとなのせんきょ(かこさとし/作・絵)

多数決=民主主義ではない、ということがすごく分かりやすく描かれています。 多数決って数の暴力になることもありますしね。 少数派の意見でも大事なことであれば取り上げることはとても大事。 でも少数派を握りつぶしたいがために多数決を振りかざす人たちの多い昨今… この国はどこに向かっていくのだろう? こどものとうひょうおとなのせんきょ…
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レミーさんのひきだし(斉藤倫・うきまる/作・くらはしれい/絵)

とっても素敵で可愛らしいお話と絵に心がほっこりしました。 私も引き出しの中のものを喜ばせてあげなくては! 大事に取っておくばかりじゃなくて日の目を見させてあげないとね。 空き瓶は実用的に台所で活躍してもらってるんだけど、空き箱とか包装紙とかリボンは眠りっぱなしなんですよね。 レミーさんのひきだし [ 斉藤 倫 ] - 楽天ブック…
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我らが隣人の犯罪(宮部みゆき)

大昔に読んだはずなのに思い出せず、買ったような気がするのに見つからず。まあとりあえず再読。そして読んだような…?うろ覚え。 『我らが隣人の犯罪』生活空間が壁一枚しか隔ててなくても、生活音がダダ聞こえでも他人は他人ですから何をやってるかなんて分からないものですよね。小さな場所で大掛かりな展開。 『この子誰の子』書かれてからだいぶ年月が…
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ピアノをきかせて(小俣麦穂)

ピアノをモチーフにしたふんわり感動物語かと思ってあらすじに目を通したら…ん?ちょっと違うかも。 そう思って読んでみたところ、姉のピアノを中心にまわってきた家族の歪みと矯正の物語でした。 一番の感想は…間に合ってよかったね、かな。 音楽は表現だから心を反映してしまうんですよね。 目指しているものがなんであれ、楽しむ心がないといい音…
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夜の向こうの蛹たち(近藤史恵)

近藤史恵作品は、個人的に好きか嫌いかがはっきり分かれるんだけど、これはそのどっちにも当てはまらない感じ。 誰の目線から読んでいいのか分からないというか(共感とはまた別の話)、彼女たちがこの物語に至るまでの背景が分からなすぎるというか… もっとヘビーに書き込んでいて欲しかったと思ってしまうけど、あえて物語をヘビーにしないように彼女たち…
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少年と犬(馳星周)

ほどよい絶望感と温かさに馳星周さんっぽさを個人的に感じました。 『男と犬』 一冊を通して登場する犬とその時代背景、そして最後までつながる犬が南を目指していること(理由は不明)も描かれている。 『泥棒と犬』 前の話に登場した人物が件の犬を連れているところから始まる。言葉は通じずも心が通じている様子が続き、このこともあとから読み直す…
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ピアノはっぴょうかい(みやこしあきこ)

思ってたのとちょっと違ったけど、緊張しない(ほぐす)ことが大事なのは確かにそう。 これはちょっと予想外の緊張のほぐし方だったけど。 はっぴょうかい、好きな人は好きなんだろうけど、私はできれば避けて通りたい(笑) いや、子供の頃はそうでもなかったかも? ピアノはっぴょうかい [ みやこしあきこ ] - 楽天ブックス ピアノはっぴ…
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生きる(谷川俊太郎/詩・岡本よしろう/絵)

詩はすでに読んだことがあるのですが、絵がまた良くて… 相乗効果。 谷川俊太郎さんの選ぶ言葉には無駄がなく、詩として洗練されており、人生を語っていても説教臭くなく。 目や頭で読むというよりは心で感じる詩…いやいやそれも違う、心にするするとしみこんで潤される。 そして繰り返すけど絵がまたよい。 絵本の醍醐味。 最後に余談。 谷…
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銀花の蔵(遠田潤子)

物語の舞台は醤油蔵なのだけど、物語自体は醤油蔵の物語と言うよりは銀花という女性とまつわる人々の人生模様。 序章を読んだ時点でパンパンに詰まった伏線を感じてその後は時間が許す限りの一気読みでした。 家族の形に正解はないというか、家族とはみなで作り上げていくものなんだな、としみじみ。 時間を経て経験を重ねて気づく誰かの思いなど、心がい…
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フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ハミルトン/作・中村融/訳)

ジャンルで言うならSFなのだろうけど、SFの形を借りて人間心理を皮肉っている印象。 『フェッセンデンの宇宙』 自分の生きている世界だけがすべて、離れたところで起きていることには、その中に命とその営みがあることなんて知ったこっちゃない…そう考えてしまうのは窮屈にさせられた心のせいなのか自分の知識と力に自信がある故の傲慢なのか。コロナ禍…
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革命前夜(須賀しのぶ)

ベルリンの壁が崩壊した頃、私のチャラくない人生の中でもややチャラかった頃の出来事であり、共に思い出して恥ずかしさが伴うのですが…私情はさておき。 読み終えたとたんに背筋がぞくっとしたと言いますか、肌が泡立つといいますか、確かにタイトルからしたらここで終わるんだろうけど、ここからも十分に登場人物それぞれに人生は続いていくのであろうし、そ…
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平場の月(朝倉かすみ)

恋愛ものでありながら人生もの。 小中校の同級生って、大人になってから当時のことを知ると「そんな生活背景が…」と思うようなことがあったりするんですよね。 主人公たちと同世代なのでその辺りの『ああそうだったんだ』は経験として分かります。 50になっても尚、と言いますか、50だからこそといいますか、そんなあれこれが詰まった一冊だと思いま…
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嘘と正典(小川哲)

これは…好みが分かれる読む人を選ぶ印象。 私はかなり好き。 第163回の直木賞候補作品なんだけど、直木賞つて感じではないかな、 直木賞はもっと一般受けするエンターテインメント作品でないと。 どの話も片手間には読めない印象。 『魔術師』 姉はどうなったの?筋通りの流れで行くなら…でも違う何かを見つけてるかもしれないし。息を飲ん…
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能楽ものがたり 稚児桜(澤田瞳子)

サブタイトルに『能楽物ものがたり』とあることから 能楽がベースに描かれていうということでいいのでしょうか。 個人的に「人間は本来悪であり如何にそれをうまく隠し騙し生きてゆくかで善人になれる。尚且つ悪をむき出しにできる瞬間を待っている生き物だ」と思っているので、どれもこれ納得の展開でした。 なのでその目線からの感想を以下に。 『や…
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第161回直木賞候補作についての個人的ランキング

第161回の直木賞候補作を全部読み、感想をアップしたので以下にまとめてみました。 朝倉かすみ『平場の月』(平成30年/2018年12月光文社刊) https://50595192.at.webry.info/202007/article_3.html?1595400088 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(平成31年…
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マジカルグランマ(柚木麻子)

いまひとつ、どこへ向かって行きたいのか分かりかねる印象。 社会の理想像としての自分とそうでない自分との違和感とか、自分の理想像の自分と社会に存在している心地よい自分とのギャップとか、テーマはそんな辺りでしょうか? 全体的に欲のない者が勝る、みたいな、意外なところに自分の居場所がある、という感じがあって、自分の居場所をつくるためにカツ…
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ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力(帚木蓬生)

早急に答えを求めない力について。 人の脳は「分かろう」とする生物としての方向性が備わっているとのこと。 以前どこかで、人間は「分からない」ことに一番恐怖を覚えるという話を読んだか聞いたかしたことがあるのですが、これはつながっているなと思いました。 早急に答えを求めてしまうと、答えに至る条件が不足だったり偏ったりしたまま答えを出して…
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トリニティ(窪美澄)

自分が良かれと思って選んだ道の行先が安泰だなんて誰にも分からない。 それならば、茨の道と言われても行くしかないのでしょう。 人は、今やれることしかやれないのですから。 そんな考えが、勇気づけられるような、やるせなくなるような、なんとも心をざわつかせるお話でした。 終盤になるほど話が優等生的にまとまり過ぎてるようにも感じた…
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熱源(川越宗一)

アイデンティティの探索が描かれている物語は好きですが、物語として描かれるだけあって熾烈でした。 滅びるもの、消えてゆくもの、失われてゆくものは、そのもの自体が劣っているのではなく、自分たちが優れていると思っている者たちによって滅ぼされたり消されたり無いものにされたりする部分が大きいのだな、と、感じました。(無論、それだけではないとも思…
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RAVEL ラヴェル(ジャン・エシュノーズ/作・関口涼子/訳)

作曲家、モーリス・ラヴェルの晩年10年をモチーフに書かれた小説。 映像的というか、映画的な小説だと感じました。 文字を介してラヴェルが動いて話しているのがまるで見えるような。 最後の9の項は読み進めるのがとてもつらくかなしく… まるで目の前に本人がいるかのように、失ってくことの辛さが胸にダイレクトに響いてきて涙がとめどな…
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第159回直木賞候補作についての個人的ランキング

第159回の直木賞候補作を全部読み、感想をアップしたので以下にまとめてみました。 上田早夕里『破滅の王』(平成29年/2017年11月双葉社刊) http://50595192.at.webry.info/201808/article_1.html 木下昌輝『宇喜多の楽土』(平成30年/2018年4月文藝春秋刊) http…
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