くちなし(彩瀬まる)

ものすごい世界観だな、と思いました。
ともするとおどろおどろしい印象を与えそうなモチーフだと思うのですが、それが見事にどろっともったりと濃厚で、なのにあっさり呑み込めするりと自分の中に落ちていく、一つ読んでは読むという行為が満たされるのにどんどん読めるという、なんとも不思議な魅力がありました。
『くちなし』
愛とは…その人の一部でも完全に自分のものにしたいと思うことなのか、それとも全てを自分のものにしたいと思うことなのか…そしてどちらがその人にとって幸せなのか、そして愛された相手にとっては…?
『花虫』
寄生虫とまでは言わないけど、恋なんて自分の産んだ幻想のたまものだと思っているのでこの世界観が一番理解しやすかったかな。
ただ虫下しの製造の中止理由は腑に落ちなかったかな。
全員失踪でも製造中止じゃなくてそういう副反応?があるってことで販売すればいいのに、って思ってしまったので。
『愛のスカート』
好きな人との距離の縮め方が分からないからストーキングするのか…?
普通(っていう表現も変だけど)じゃないから普通を愛し、だからどうしていいか分からないのか…。
それも理由というか要因のひとつにはあるのかもなぁ、とは思いました。
理解はできないけど。
『けだものたち』
愛する者の全てを自分のものにしたいという面が底に流れているところが『くちなし』に近いかなと思いました。
でも私には難解で…なんで夫が変異し始めたのかまでは理解できず…
『薄布』
生活のためのお金を得るために自分を売る子どもと、自分が自分であるためにそれを買う大人。
誰かを傷つけるという行為は自分を満たすことができるのか?
たぶんそれは無理なことで、でも無理だと気付かずに誰かを傷つけて、そうすることによって満たされた錯覚を手に入れることを繰り返すのでしょうね。
『茄子とゴーヤ』
この中ではかなり普通の話。
でもこの物語も含めて、他人に愛は伝わらない、愛の基準は本人以外には分からない、相手ありきだけど愛の基準はしょせん自分、愛はまず自分があってから、という割と愛の中に含まれる自分が主になる部分が根底にあるような…?
『山の同窓会』
命は誰のためにあるのか?何のためにあるのか?人生は誰のものなのか?命そのものの目的とは何なのか?きっと長く生きても、大事な人を何人見送っても、それは解けることのない謎なんだと思います。

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