牛田智大ピアノ・リサイタル@練馬文化センター3/25(日)プログラム

明るくなるステージ。
静まり返る客席。
そして牛田智大さんがステージ上へ。
客席の注目の中、いよいよ演奏は始まりました。

1.ノクターン第17番ロ長調Op.62-1
 静かな中にも情熱を秘めたショパンのノクターン。
 クラシックに詳しいわけではありませんが、ショパンのノクターンで一番有名なのは第2番ホ長調Op.9-2 かな、
 と思いますが、私はこの曲の、静かに部屋を出て静かに扉が閉まるような終わり方が好きです。

2.スケルツォ第2番変ロ短調Op.31
 自分の中にある、普段はどこにあるか気にしてもいない、感情の起伏の出所を刺激された感じがしました。
 喜怒哀楽のジェットコースターを自ら運転しているような、不思議な感覚にとらわれました。

3.バラード第1番ト短調Op.23
 もしかすると今一番多くの人の耳になじんでいるショパンの曲かも?
 平昌オリンピックのフィギュアスケートで羽生結弦選手がSPで使っていましたね。
 過去にも何度か使われていますし、聴いたら「ああ、あれか」と思われる方も少なくないのでは?
 でもフルで聴いたのは初めて!という方も多かったのでは?
 ここまでの3曲は、牛田くんのこれまでのCDには収められていないので牛田くんの演奏としては初めて聴いた
 のですが、聴きなれたCDの音が脳に染みついていたので、「あ、今の牛田くんらしい」「今の弾き方好き」とか
 思いながら聴いていました。

4.ポロネーズ第6番変イ長調Op.53「英雄ポロネーズ」
 ショパンの曲はどれも好きなのですが、どうしても一曲だけ選ばなきゃならない、ってことになったら、
 恐らく私はこの曲を選ぶと思うんですよね。
 余談ですが、朝の出勤時間を教えるアラームの設定音楽がもう長いこと「英雄ポロネーズ」です(笑)
 気分が滅入っているときも、この曲を聴くと「あーやらなきゃ、やろう!」って思えるので。
 なんでだか分からないんですけどね。
 そんな風に感じているこの曲、牛田くんのCDにも収められているのですが、その演奏が大好きで、
 聴くたびに心をがっつり持っていかれてしまうのですが、今回はこの曲を生で聴けるということで…
 そう思っただけで胸がいっぱいでした。
 そして実際に聴いて…
 もうね、瞳孔開いてんじゃないかってくらい魂もってかれちゃってましたよ。あの数分間は。
 CD収録した4年前とはまた違った素晴らしい音が!
 毎日のように聴きこんだ牛田くんの英雄ポロネーズとはまた違った、さらなる魅力のある英雄ポロネーズが
 そこにありました。

ここで15分の休憩が入りました。

本来なら、座りっぱなしは腰に来るのでロビーをうろうろしたいところだったのですが、いかんせん
腰が抜けてる気がして怖くて立ち上がれませんでした(汗)

5.24の前奏曲Op.28
 この曲(曲たち?)は、若い頃にブーニン演奏のものを買っており、たまに引っ張り出て聴いていました。
 ピアノってね、ピアノとピアニストがかわるだけでホントに変わるのね…
 と実感。
 24の、とある通り、24曲で構成されているのですが、短いものは1分なく、一番長いもので5分半くらいです。
 この中で有名な曲と言えば『第7番イ長調』と『第15番変ニ長調「雨だれ」』がツートップなのではないでしょうか?
 実は私、子どもの頃に習わせてもらえなかった私怨を晴らすべく、26、7の頃に1年半くらいピアノを習った時に
 その発表会で『第7番イ長調』を弾いちゃったりなんぞした過去が…恐れ多くも恥ずかしくも蘇りました。
 『雨だれ』は、またピアノの習得を再開できる日が来たら目標にしたいなあ、と思っている曲です。
 24曲、例えるなら、裏返っている24枚のステキな絵柄のカードを順々にめくっていくような楽しさがありました。

アンコール曲

・トロイメライ(シューマン)
 小学4年生のころ、この曲が放課後の音楽として校内放送で流れていた時期がありました。
 当時の私は、この曲が学校から流れてくるのを聞くととても切なくなったものでして…
 校内だと大丈夫なんですが、通っていた小学校のすぐ横の学習塾にいるときや、
 学校を休んで家にいるとき(自宅が学校から徒歩1分だった)に聴こえてくるとそりゃもう切なくて切なくて…
 長年、その理由が分からなかったのですが、今回なんか腑に落ちるところがありまして…
 たぶん私は、学校という自分の日常の大部分を占めているところでかかっている曲をそれ以外の場所で聴くと、
 日常から放り出されてような心もとなさを感じてしまっていたのではないかと思い至りました。
 今回、日常からちょっと離れた世界を満喫しようと心に決め、気持ちを全開放して鑑賞に臨んだせいか、
 あの頃の切なさに似た心もとなさを感じました。
 曲の紅斑からはかなり目がうるうるしていました。
・樅ノ木((5つの小品)から)(シベリウス)
 樅ノ木がそこに立っている錯覚に捕らわれました。
 空間に、ある種の感情を作り上げるだけでなく、そこにないものを心の目に映してしまう演奏の力にため息です。
・子犬のワルツ(Op.64-1)(ショパン)
 子犬の楽し気な動きだけでなく、それを見つめる優しいまなざしも伝わってくるような演奏でした。

ピアノの生演奏を聴いたこと自体が久しぶりだったのですが、(ステージの、となるとさらにもっと久しぶり)
ピアノから流れ出る音を聴いたとき、
「なんて厚い音なんだろう。厚い?違うな、なんだろうこの厚さ」
と思ったのですが、牛田さんがFBに、

『温かく深くて、人生の哀しみや苦しみを
全て背負ったような音色』

と書かれていました。
そうか、厚い音じゃなくて篤い音だったんだなぁ。

語れるほどピアノの音の数を知っているわけではないけれど、牛田さんの演奏ととてもあっていると思いました。
15分休憩の間に、調律師さんがピアノに触れられていましたが、調律師さんの力も大きいんですよね。
ピアニストさんに合わせて、よりよい演奏ができるように砕身するお仕事、素晴らしいですね。
もちろん、その他もろもろのスタッフの方たちのご尽力もあると思います。
ステキな時間を得られたことに感謝しきりです。

終演後、ロビーにてサイン会があったのですが、その場でCDを購入することが条件だったのでちょっと迷いました。
だってもうすでに全部持ってるんですもの(笑)
でも迷ったのはどれにしようかな、だけだったのですぐに解決しましたが。

この日のプログラムとアンコール曲から、自分的に一番近いと感じた『トロイメライ』をセレクト。
以前から大好きだった『英雄ポロネーズ』もアンコール第一曲目の『トロイメライ』も入っているし、
尚且つ、私が牛田さんの演奏にはまったきっかけになった『乙女の祈り』も入っている!
2枚持っていてもいい!って思える一枚だったので。
でも今は、職場で牛田さんのCDとかけていた時に「え?これいいね…」って言ってくれた仕事仲間に
プレゼントしちゃおうかなあ、なんて目論んでおります。
同じ沼にいらっしゃ~い。

とにもかくにも、念願の!念願の、牛田智大さんのピアノリサイタル。
いや、ホント、同じ時代に生きててよかったと思いました。
同じ時代に生きてなかったら、どんなに頑張っても生の演奏は聴けませんからねぇ…
会場を出てからもしばらく手足の震えが止まりませんでした。
大好きなショパンを大好きな牛田さんの演奏で聴けるなんて夢のような時間でした。
いろいろなものに感謝です。
ステキな時間をありがとう!

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