ホテルローヤル(桜木紫乃/著)

まずは直木賞候補という目線での感想から。
今までにも短編集の受賞と言うのはあったけれど、物足りなさ感が否めませんでした。
少なくともこの作品での受賞はないかなあ…
そして本好きとしての感想。
一つの建物、ホテルローヤルを主軸として、幾人かの人を主人公において時系列をさかのぼっていく構成に効果が感じられてよかったです。
先に出てきたこの人の人生を読む事は、先に噂で知った人と直接話してみたら印象が変わることがあるのに似ていて興味深かったです。
『シャッターチャンス』
恐らく美幸は、帰り道であの気持ちに達するまでは、貴志のことを、挫折して自分と同じところまで落ちてきた男だと思っていたのではないでしょうか。
けれど本当の意味での挫折を彼は感じてはおらず、実は上から自分を見ているのではないかという考えに至ってしまったきっかけになったエピソードがこの物語なのかな、と思いました。
このあと二人はどうなるのか気になるところです。
序盤に出てきた「ホテルローヤ」がもしかするとその後の二人の人生の暗示だったりするのかも…
『本日開店』
人生は、いつでも本日開店。
そう思ってないと怖いときがある。
これで終わりって思いたくないとき。
それは終わりじゃなくて新しいスタートなんだって思いたいときがある。
例えそれが誰かにとって疎ましい開店であっても。自分を支えるために。
『えっち屋』
この物語の中で、大吉と並んでホテルローヤルと人生を共にした人物と言えると思う雅代が主人公。
人生なんて、敷かれた線路の上を歩くように生きても、自分で選び取ったように生きても、どっちでも本人が納得したモンがちなんだろうなあ、と思いました。
『バブルバス』
人の死は巷で「不幸」と言われているが、実は不幸でないということがあるという事実。
そんなことを思ったせいか、一番現実の匂いを感じた作品かも。
『せんせぇ』
あのエピソードの二人はこういう関係だったんだ…。
直前までは描かれておらず、ストーリー上は時間にぽっかり穴があく形になっているので、どんなやりとりがあったのかは読者に委ねられているわけですが、そういう行き先もありかな、と思うことができる空気は感じました。
『星を見ていた』
周囲の人たちの目から見たら、ミコはいつもギリギリのところを生きているように見えたんじゃないでしょうか。
だからふらっと落ちそうになると周りは優しくなるんじゃないかな…
『ギフト』
ホテルローヤルが誕生するまでのエピソードであり、大吉が止まることも逸れる事もできないレースのスタートラインに立つまでの物語でもあります。
でっかい男の夢。
物語のまとまりとして、大吉のそれは一番最初の物語の貴史のそれにつながっていくのではないでしょうか。

ホテルローヤル
集英社
桜木 紫乃

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ホテルローヤル の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




ホテルローヤル [ 桜木紫乃 ]
楽天ブックス
桜木紫乃 集英社 <table border="0" width="3


楽天市場 by ホテルローヤル [ 桜木紫乃 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



"ホテルローヤル(桜木紫乃/著)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント