黒パン俘虜記(胡桃沢耕史/著)

小説の体裁はとっていますが、実体験を基にしてるらしいです。
俘虜生活を描いているので、かなりグロテスクなシーンもありますし、飢餓感、私欲、暴力、私刑など、その言葉だけみたら決して読んで愉快そうな作品には思えません。
が、全体的にのんびりというか、現実を描いているというよりは、いつか醒める悪夢の中をさまよっている印象というか、いい意味での諦念が漂っているというか…説明するのが難しいのですが、そんな感じです(苦笑)
ただ、先にあげたキーワードからイメージされるような読後感の悪さは感じませんでした。

第二次世界大戦では多くの人々が犠牲になり俘虜となりましたが、この本の内容が事実であれば、俘虜になった人たちの多くは同じ日本人に殺されということになりますね。
戦後は、与えられた地位や権力よりも、個人が元々持っている腕力やずる賢さが物を言う時代だったように感じます。
作品中、時には人間本来の優しさが垣間見られることもあるのですが、けどそれは、食事や身分が保障されている人たちだけが持っているものであり、貧困は心も貧しくするのだな、と改めて思いました。

じゃあ、物がこんなにあふれているのに、今の日本が殺伐としていて、自分のことしか考えられない人が溢れているのはなんでなんでしょうね?

黒パン俘虜記
文芸春秋
胡桃沢 耕史

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