彼岸花はきつねのかんざし (学研の新・創作シリーズ)(朽木祥・著/ささめやゆき・絵)

平和ボケ、という言葉が使われるようになって久しいですが、平和な日常を当たり前と思うことは、決して悪いことではないと思います。
そういう日々が来るように、たくさんの人たちが、殊に、自分の力の及ばないもに生活を脅かされ続けた人たちが努力を重ねて作り上げた貴重な平和なのだから。
けどその平和が、ある日突然奪われることもあるという事実は知っていなければならないと思います。
自分の住むこの日本で、過去にどんな出来事があったのか、ということも含めて。
この本には、戦争と原爆が描かれています。
けどこの本は、戦争や原爆そのものの悲惨さを伝えるためだけのお話ではないのでは?と私は思いました。
被爆者の描写は最小限に控えられていると感じましたし、そしてその分、『あたりまえ』がなくなることから生まれる喪失感やもどかしさを強く感じました。
「そのときああ言えばよかった」「あのときこうすればよかった」
誰でもそう思うことは日々あると思いますが、次があると思うとつい後悔を次回に生かせずうやむやにしてしまいがちです。
けどもし、次がないと思っていたら…?
それでも、全く後悔なく生きることは無理だとは思いますが、その日その時をもっとずっと大切に生きられるのではないかと思いました。
ラストで、子ぎつねに言おうと思って言えなかった言葉を気にしている也子が切なく、自分の言葉のせいで子ぎつねがいなくなってしまったのではないかと気に病んでいる様子に胸が痛みました。

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