少年と犬(馳星周)

ほどよい絶望感と温かさに馳星周さんっぽさを個人的に感じました。
『男と犬』
一冊を通して登場する犬とその時代背景、そして最後までつながる犬が南を目指していること(理由は不明)も描かれている。
『泥棒と犬』
前の話に登場した人物が件の犬を連れているところから始まる。言葉は通じずも心が通じている様子が続き、このこともあとから読み直すと伏線と分かる。
『夫婦と犬』
中盤あたりで、おそらくこの犬を手元に置いた人物は近々死ぬのであろうと感じました。
当同時に、この犬が死を呼んでいるのか?それとも遠くはない死期を感じ取ってその者の元に留まっているのかが気になりだしました。
『娼婦と犬』
と、前の話で思ったところで、どうやら今度は殺人後の登場人物が主軸。
暗澹たる空気はこの物語の中ではトップレベルと感じられました。
が、逆に主軸となった人物が死なずに終わった初の物語。
犬がなぜ南(南西)を目指しているのかを抜きにしても、今後の物語の流れが俄然気になってきました。
『老人と犬』
人って、他人の中での自分の存在の意味に気づいてないことって多いですよね。
家族だからわかることと家族だからこそ分からないことがあるのが苦しい物語です。
『少年と犬』
いよいよ犬が南(南西)を目指していたかが明らかになります。
多聞によって生きていくうえで大切なことに気づけた少年に希望を感じるとともに、なぜ光ると多聞がそういう関わり合いをする運命だったのか、という謎を除いても、ややすっきりしない感情が残りました。
そもそも、元の飼い主が亡くならなければ多聞が光を救う未来はあったのでしょうか?
元の飼い主の死は光を救うことの前提としてなくてはならなかったのか?
光の快復のためには多聞が必要不可欠で、でも多聞が光に再開するためには複数の人物の死が必要で…小説と言ってしまえばそれまでですがなんか心の底に澱が残る作品です。
個人的に嫌いではないですが。
そして最後の最後、SNSに送られてきたメッセージの送り主が最初の物語に出てきた人物なのですが、そのことからこの後、時系列に沿って情報が寄せられるような気配が感じられた終わり方を良いと思いました。
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