真実の10メートル手前(米澤穂信)

予備知識がないままに読み始めたので、最初のエピソードがなんの解決もみないまま次の話に移ってしまったのでちょっとびっくりしました。
ですが、二つ目を読み、これは大刀洗万智の仕事物語なのだと気付いてから俄然面白く感じ始めました。
ひと言でいうと人間臭い。
でもそれは近年にありがちな腐敗臭ではなくほどよい発酵臭であり、読めば読むほどクセになるものでした。
どうやら前作があるようで、いずれは読んでみようと思います。
『真実の10メートル手前』
ほうとうの温かさが太刀洗万智のあたたかさと重なる作品だと思う。
不幸な結果ではあったけれど。
この事件をどんな記事にしたのか知りたいところですが、この事件以外の記事も読むことはできないんですよね。
ちょっと寂しいけど想像するのもまた楽しみとできる気がしました。
『正義漢』
ずいぶん好戦的な書き出しだな、と思ったらそいういうことだったのか、と納得。
やや強引な展開なような気もするけれど、犯人像が形になるにつれてそんな気持ちがなくなっていく不思議。
『恋累心中』
救いようが全くをもってない物語。
「この世がこれほどひどい場所だとは思わなかった。」
この遺書を書き、自死を実行した後にさらなるこの世のひどさを重ねられるとは…小説とはいえ無残すぎてやるせなさがいつまでも尾を引きました。
『名を刻む死』
間違った道に進ませないためだったら、たまたまかかわった若者のために悪になる太刀洗万智の人間臭さがたまらなくいいラストでした。
『ナイフを失われた思い出の中に』
ヨヴァノヴィチの妹と太刀洗万智のエピソードを知らなかったのでそのあたりをなんとも理解できず…
このあたりの物語は他にあると読後に知ったのでこれもいずれは読んでみようと思いました。
どんな過去があったのか知りたいので。
『綱渡りの成功例』
これ、私も同じところで「あれ?」と思ったので太刀洗万智が戸波さん夫妻に尋ねたときには「私も知りたい!」と思うと同時に、それと同時にきになった「申し訳ないを連発する」と何かつながる?とひらめきワクワクしながら読み進めました。
なるほど!
どんな記事を書いたのか、これが一番気になったかも。
太刀洗万智ならきっと、戸波さんをこれ以上申し訳ない気持ちにさせるような世論が生まれることを阻止できたと信じています。

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