あとかた(千早茜/著)

『ほむら』『てがた』『ゆびわ』『やけど』『うろこ』『ねいろ』
共通した登場人物たちからなる短編集。
『ゆびわ』までは、なんてさらさらと流れる物語なんだろう、と思いましたが、『やけど』でずっしりと自分の底に何かが溜まっているのを感じました。
あとかた、という言葉は単独で使われることは(私の知る限りでは)なく、一般的にはあとかたもなく、という言葉で使われることがほとんどだと思うので、読み始める前、タイトルからは空虚なものを感じていました。
読み終えた今も、その空虚感は感じるのですが、日常で人が感じる空虚感はいつも常に空っぽなわけではなく、そこを埋めるものは流動的なんだなあ、とも思いました。
一番ぐっときたのは『やけど』で、ラストでサキが出て行こうとしたとき思わず心の中で松本に「黙って行かせちゃダメだよ、うまく言葉がでなくても、思ったままを伝えなきゃだめだよ」と叫んでしまいました。
この二人が幸せになるとは限らない、けど一番しあわせに近い気がしてなんだか嬉しく感じました。
この物語の世界観というか雰囲気が好きです。
機会があったらこの方の他の作品も読んでみようと思います。

あとかた
新潮社
千早 茜

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