春来る鬼(須知徳平/著)

1963年、第9回読書感想文コンクール、高校生の課題図書。
表題作は、唯一である吉川英治賞の受賞作ですが、これは吉川英治賞が吉川英治文化賞と名を改めたため。
現在、文学に対して送られているのは吉川英治文学賞。
ちなみに吉川英治文学賞は今年で47回を迎え、受賞者の多くは直木賞も受賞している。
アマゾンの登録は佐川茂になっているが、この作品の初版時の著者名は須知徳平。
『春来る鬼』
舞台は三陸地方、時代は具体的には書かれていないのですが、私は勝手に江戸時代をイメージして読んでいました。
南方から漂着した民が人知れず住む者たちと、その岬に漂着した一組の男女の物語なのですが、余所者を受け入れるためのためし入りという儀式や、村人の間に流行りだした原因不明の病の元凶を余所者に押しつける様、その裏に隠された村人たちの考えや漂着してからそのときまで歴史などが興味深く描かれていました。
科学よりも迷信のほうが生活に根ざしていた時代の物語です。
『三陸津波』
あとがきを読むまでは、三陸津波の生き残りの方の話を聞いて物語を作り上げた、という作りを信じてました。
そのくらい、リアリティを感じたのですが、全体において作者の虚構と感がえてよいとのことです。
―津波は三十年毎に襲ってくる。
―自信がおきたら、必ず津波だと思え。
―波が引いたら、山さのぼれ。
―津波は親子もねぇ。
『南部牛方節』
あとがきに岩手県九戸地方の伝説をもとに書いた作品だそうです。
時代は江戸は文化文政の頃、舞台となっている土地ははみちのくの小京都と呼ばれたいた南部の城下。
元になった伝説については知らないのですが、時代背景とあいからまって、一人の牛方と牛のある一つの生き方が見事に描き出されていました。
時代に飲まれたような、抗っているような…なんとも不思議な物語でした。

春来る鬼 (1963年)
毎日新聞社
佐川 茂

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