なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日(門田隆将/著)

壮絶。そんな安っぽい言葉を使ってしまっていいのか?
日々のニュースやワイドショーから伝わってきていたものとは似て非なる物語がここにありました。
事件としてぱーっと盛り上がる面白いところだけしか取り上げないのが時事ネタ専門のマスコミのすることなんだな、と改めて認識しました。
本村氏がなぜあそこまで死刑判決を求めたのか?
彼の人生を知らずして、彼の行動の原動力は理解できないと思いました。
世間では批判的な意見もあったようですが、バッシングを受けてでも立ち向かい続けたのはなぜか?
その理由が伝わってくる一冊でした。
こんなことを言っては不謹慎かもしれませんが、この国の司法を変える力をもった人間として彼は適任だったのではないでしょうか。
家族を奪われるという不幸に見舞われる前から、自身の健康を通して生死と向き合った経験があり、自分という人間を客観的多面的に見ることが出来る稀有な人物だったと思います。
死刑判決を求めながら、死刑は必要か否かという点についても考え続けています。
決して、闇雲に「憎いから殺したい」と思って情熱的に活動を続けてきたわけではないということも改めて分かりました。
そして、犯罪被害者および被害者家族の人権に関する問題にも、身を呈して変革をもたらしたのですが、司法が変わり始めたのには、時代背景の影響もあったように感じます。
こういう時代になり、通りすがりの殺人が増え、いつ誰が被害者になってもおかしくない不穏な世の中になったからこそ、たくさんの人たちが被害者の人権について考え始めたのだと思います。
世の中が平和で、自分は被害者になんてならない、と、のんきにみんなが思っていられる世の中だったら世論は動かなかったかも知れない、と思うと複雑な気持ちにもなりました。

なぜ君は絶望と闘えたのか
新潮社
門田 隆将

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本村洋の3300日 著者:門田隆将出版社:新潮社サイズ:単行本ページ数:255p発行年月:2008年


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  • 『か』から始まる作家さん

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