私生活(神吉拓郎/著)

17つの短編からなる一冊。
様々な人たちの、その生活の隠された部分、閉ざされた部分が描かれています。
『つぎの急行』
いつも礼儀正しいご近所さんの意外な一面。
『たねなし』
自分に都合のいい嘘をつく女より、人の噂話を楽しむ女の方が怖いと私は思う。
『丘の上の白い家』
なんか、うすら怖い感じは漂ってるんだけど、イマイチ私には意味が分かりませんでした。
『ご利用』
この手の話を題材にした小説って結構あるけど、そんなに結婚した女の日常生活ってつまんなそうに見えますかね。
といつも思う。
すべてをうちゃっちゃいたいほどの退屈ってどんなんだろう。
『六日の菊』
大人同士の心の駆け引きみたいなのがきれいに描かれてるなあ、と思いました。
話そのものはほのぼのしていないのですが、読後にあたたかい空気を感じました。
『警戒水位』
「ご利用」とは対照的に、平凡な日常と自分に辟易した男が、すべてを捨てて新しい道を行こうと思いつついけない話。
男の方が勇気がないのか、はたまた理性が備わっているのか。
『かけだし老年』
おじさんたちの会話がなんかほほえましい気がするのは私だけ?
この年代の男性にしてみればほほえましくもなんともないのかもしれませんが。
男の人も年をとる、ってことで。
『釣り場』
なんか、結局何がいいたいのかイマイチわからなかっ割には妙に印象に残る話です。
穴場で一人きりで釣りをしてるときに思い出したくないかも。
『小夜子』
浜垣さん(作中の人物)が語ると、なんかダッチワイフがいやらしいものに聞こえません。
奥様との駆け引きが…いやはやいやはや。
『冬眠』
集合住宅って、壁一枚、一つ屋根の下なんですよね。
でもって完全に赤の他人。
よくよく考えると不思議なものです。
『鮭』
勝手な旦那さんが勝手に見えないのは、短い話の中に、夫婦の関係がきちんと描きこまれているからでしょうか。
『背中』
年を重ねるに連れて、同年代の連帯感って増す気がします。
ほらほら、あのドラマに出てた女優さん誰だっけ、ほらほら(笑)
『待たれる』
世の中には色んな「待たれる」があると思いますが、生きてる中で一番切ない待たれるかも知れません。
『よろよろ』
よそ者って、何年そこに住もうと、どんなに地元に尽くそうと、ずーっとよそ者のまんまなんですよね。。。
『シングルス』
無理に結果を出さず、ゲームの持ち越しが必要なときって人生にはあるんですよね。
『もう一人の女』
女の中は見かけによりません。化けます。
『季節労働者』
人生にも季節はあり、季節労働者は新しい居場所を探してさまようのですね。

全体的には、大人なムードでありながら無邪気な部分もある感じ。
私が今まで読んだ中だと、向田邦子さんと近い印象を抱きました。

私生活 (1983年)
文芸春秋
神吉 拓郎

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