風の靴(朽木祥/著)

この本を手にしてぱらぱらっと見たときは正直あまりそそられませんでした。
『ヨット』『家出』というキーワードから、現代日本を舞台に、そこに住む子供を主人公に面白い話なん作り出せるのだろうか?と思ってしまったからです。
けどそれは誤りでした。
ここに出てくる少年少女は、きちんと自分たちの足で地を踏み、自分たちの手でつかみ、自分たちの言葉でしゃべり、めいっぱい呼吸をしていました。
一番の成長を感じさせてくれたのはやはり主人公の海生ですが、田明の胸のうちも、深刻に語らないが故に伝わってくるものがありました。
海生が成長していく様子は各所で感じることができるのですが、一番私が彼の成長を感じた部分は、
『田明にだめなやつだと思われるのはつらかったが、でもまあそれが自分なら―“自分以上でも自分以下”でもないなら仕方がない、と海生は苦い気持ちで考えた。』
このくだりです。(ここで私は涙うるうるでした)
これから先、この二人は、お互いの皮袋は絶対誰にも開けさせないだろうと思いました。
それはとても素敵なことで重要なことだと思いました。
今は、友達に弱みを見せられない、自分の弱みを直視できない、そんな子供が増えているような気がするので、海生や田明と同じ年頃の子たちの一人にでも多くにこの本に触れてもらい、その子なりの何かを感じて欲しいなあ、と思いました。
それから、今回の家出の原因となった出来事の一つに受験の失敗があるのですが、受験で得たことが生かされてる部分があり、学校や受験のために学ぶことは全部が全部役立つものではないけれど決して無駄ではないこと、逆に、学校の勉強だけでは生きていけないということも描かれていて「深いなあ」と思いました。
イラストもとても素敵で、夏のまったりと濃い空気と、そこを吹き抜ける風が伝わってきました。

風の靴
講談社
朽木 祥

ユーザレビュー:
すべての少年たちに、 ...
美しい世界が表現され ...
多くの青少年に読ませ ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ




風の靴
楽天ブックス
著者:朽木祥/服部華奈子出版社:講談社サイズ:単行本ページ数:318p発行年月:2009年03月この


楽天市場 by ウェブリブログ



この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 『く』から始まる作家さん

    Excerpt: 草場一壽  いのちのまつり「ヌチヌグスージ」  http://50595192.at.webry.info/200808/article_21.html くすのきしげのり  おこだでませんよう.. Weblog: 読書感想♪だってそう思っただけ♪ racked: 2009-04-29 16:34