阿部昭18の短篇(阿部昭/著)

中学生のとき教科書で読んだ『あこがれ』をもう一度読みたくて探していたところこの一冊にたどり着きました。
小説の寄せ集めなのかと思ったら、自叙伝とエッセイの中間みたいなものが多かったです。
『あこがれ』
懐かしかったです。少年の恋心を描いたお話に、中学の国語の教科書ってこんな話を載せちゃうんだ~(プチ驚)と思ったのを今でも覚えています。
『明治四十二年夏』
阿部氏の父とまつわる人々の話。
私の青春時代の思い出を、同じように印象的に抱いている友はいるのだろうか?と思いました。
『桃』
記憶の曖昧さについて、阿部氏が面白い角度で思いを述べています。
共感できるというか、自分の感覚にぴたっときました。
『子供の墓』
子供と過ごす夏の日。
私は娘ですが、子供の頃父親と二人で出かけると、父が何を考えているのか不思議に思う瞬間が多々ありましたが、その裏側をのぞいた気がしました。
『自転車』
笑っちゃいけないけど笑っちゃう。
笑っちゃうけど笑えない話。
『猫』
冷たいのか暖かいのか、優しいのか冷たいのか、つかめない阿部氏を感じました。
『言葉』
阿部氏は下の子をねこっかわいがりしていたらしい。
本人がそう書いている部分があるのだけど、この末息子、この本の終わりに中学生、高校生の姿が描かれていて、そっちを読んでから見直すと面白さがまた違います。
『手紙』
阿部氏の生きるうまさというか、人を操るうまさというか、笑っちゃいけないけど笑っちゃう。
笑っちゃうけど笑えない話。
『人生の一日』
「桃」に通ずるものがある話なのですが、言ってること分かります。
私にも似たような印象を持つ記憶がいくつかあります。
『天使が見たもの』
なんか、なんて言っていいのやら。
この話が書かれたのは昭和50年。
当時はまだ、今のように母子家庭が当たり前じゃなく…胸が痛くなります。
『ささやかな結末』
実話…ですよね?
事実は小説より奇なり。
『海の子』
子供と行く海を通して、自分の子供時代の記憶がたどられています。
時間は流れ、時代は変わっていくのですね。
『家族の一員』
若さから生まれる恋愛の矛盾というか、束縛への抵抗というか、まだ未来は決まったものであって欲しくないというか…ですね。
『怪異の正体』
私も、もっといい役がやりたいです。
『三月の風』
親子ゲンカ怖いよう…けど、こんなケンカができる親子関係って幸せだったのかもしれない、と思う今日この頃。
『みぞれふる空』
甘やかして育てた子供の氾濫?というか逃亡?
ドラマチックな一家ですね…。
『小動物の運命』
猫の話が何度か出てきたので、またしても猫の話かと思ったのですが、猫がつかまえてくる小動物の話から始まり、終わりは貝でした。
どちらも楽しみのためだけに捕らわれた身。
『水にうつる雲』
三男坊の話にオチがついた感じのお話です。
そして、なにかが一つ終わったような、終わろうとしてるような、一抹の寂しさを感じました。

阿部昭18の短篇
福武書店
阿部 昭

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