八日目の蝉(角田光代/著)

さらさらっと書かれていてさらさらっと読めるのですが、私には結構ヘビーでした。
アイデンティティーの探求、というか、自己の存在を肯定するための人生を送る人々が胸に痛かった。
人間誰しも通る道なのかも知れないし、越えていく山なのかも知れません。
ですがやはり、親の愛を感じないまま育ってしまうと、その道は険しく茨だらけで急斜面だったりするわけです。
「なんで自分だったんだろう?」
千草の疑問と、その答えを見つけようとする気概がまぶしいです。
納得のいく答えが見つかればよいけれど、その答えにさらに滅多打ちにされたらどうしよう…って私ならすくんじゃいます。
恵理菜も、すくんでましたね。千草に出会って打ち解けるまでは。
恨んでも始まらない。
けど恨まずに生きていけない。
恵理菜の場合、気持ちは実の両親を否定しているのに、それをしてまうと生きることが出来なくなりそうで、生きる術として、自分を心の底から愛してくれた希和子に恨みを向けます。
恨んでもなにも始まらない。確かにそうなんです。
だけど、全てを受け入れる強さって元々打ちにあるものではなく、身につけるものだと思うし、そこまでがきついんです。
ラストを見る限りでは、恵理菜はその強さを手に入れることが出来たようですが、希和子はまだのようですね。
作中、胸に残るセリフがあったのでここに残しておこうと思います。
『そう!そうなんだよ。私は勝手に連れていかれただけなのに、母がホームのこと悪く言って泣いたり悔やんだりするたんびに、なんだか自分がいけなかったみたいに思えて、それがつらかった』
親が子供に決してしてはならないことの一つ。
自分の人生の選択に付随する愚痴。
暴力や育児放棄は広く認識されていますが、これはやっている人はかなり多いと思われます。
舅姑に対する愚痴。ダンナの愚痴。
これって、自分を否定されてるのと同じなんですよ。子供にとっては。
絶対、してはいけません。
『ねえ恵理菜。あんたは母親になれるよ。ナントカさんて人と、いっときでも恋愛したんでしょ。自分が好かれてる、必要とされてるってわかったんでしょ。だったら母親になれる』
私は、ちゃんと母親になれてるかな…。

八日目の蝉
中央公論新社
角田 光代

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著者:角田光代出版社:中央公論新社サイズ:単行本ページ数:346p発行年月:2007年03月この著者


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