七夕しぐれ(熊谷達也・著)

いじめと差別は違う。
おぼろげには分っていたものの、自分の中では明確でなかったものがきっちり説明されている部分があり、そこが心にずしんと来ました。
競争社会と言われ、他人を蹴散らしてナンボの世の中になった日本でいつの間にやら忘れられてしまった、人として最も大切なことの一つである『正義』が、キレイごとではない物語として綴られています。
『そもそも正義には勝ち負けなどなく、貫けるかどうかの問題だけなのかもしれないし、正義を信じることができるが否か、がすべてなのだ、とも思う』
権力のある大人が知らん振りする中、子供をきちんと導こうとする数少ない大人たちがとてもかっこよく光っていました。
あと、ちょっぴり浮世離れしてはいるものの教育者であるカズヤの父親が、ラスト近くで作った○にはほろりとしました。
子供たちは勇気と知恵を振り絞ってすごいことを成し遂げたと思う。
けど大きく変えることはできず…。
世の中なんてそんなものだと思う。
思うけど、成し遂げる過程で彼らが得た様々なものは大きく、人としてかけがえのないものだと思う。
ラストの一行が思わせぶり。
裏返して言えば、いつかこの先、話をするときがやってくるということ…?

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